ダルマ駅舎とは不要になった貨物列車の車掌車や有蓋貨車などを流用した駅舎のことで、JR北海道の各線区に多く見られた駅舎です。 (今回は車掌車を流用したものに絞っています。)
見出しの写真は今年3月13日のダイヤ改正で廃止されることになった宗谷本線の上幌延駅ですが、老朽化した木造の駅舎を解体したのち、残ったコンクリートのベタ基礎の上に車掌車の車体をドンと置いただけというのが典型的なスタイルです。
JR北海道以外にも例えばJR東日本の八戸線、陸中夏井駅のように車掌車の車体を利用した駅舎はいくつかありますが、開口部の設置などの手が加えられており、車掌車そのものというのはやはりJR北海道にしかないようです。 (写真は八戸線 陸中夏井駅です。)
ダルマ駅舎は旧国鉄時代に設置されたものも多く、塗装のメンテナンスもされていないものが多いので、無残な外観のものもありました。 そのような中で一部のダルマ駅舎では外装版が設置されたり、再塗装できれいになったものもいくつかあって、そのような駅は廃止のリスクが暫くは下がっているのであろうと勝手に思っています。 (根室本線の花咲駅のようにダルマ駅舎がきれいになった途端に廃止された例もありますが)
2020年はコロナ禍で12月に函館周辺に行っただけで、それ以外は北海道には行っていないので最新の状況は分かりませんが、2019年までの段階できれいになったダルマ駅舎は宗谷本線の智恵文駅、筬島(おさしま)駅、問寒別駅、下沼駅、勇知駅 函館本線の中ノ沢駅 根室本線の尾幌駅、別当賀駅、西和田駅 留萌本線の幌糠駅、大和田駅の11駅で外装版の設置までリニューアルされたのは智恵文、筬島、問寒別、勇知の4駅です。 (写真は各ダルマ駅舎のリニューアル後の姿です。 最新情報によると日高本線 浜厚真駅も塗装がきれいになったようですね。)
今年3月13日のダイヤ改正で廃止される18駅のうちダルマ駅舎の駅は見出し写真の上幌延駅を含め、函館本線の伊納駅、宗谷本線の紋穂内駅、安牛駅の4駅ですが、駅舎の下に蛇が住んでいたり、入口に蜘蛛の巣が張っていたりして、いずれの駅も駅舎の中に入るのに若干の勇気がいるような駅でした。 (写真は廃止される伊納駅、紋穂内駅、安牛駅のダルマ駅舎です。 伊納駅は訪問した2010年の段階ではダブルのダルマ駅舎でしたが現在はシングルになっています。)
近年JR北海道の各駅は廃線、廃止、民営化で100以上の駅が無くなっており、残っているダルマ駅舎の駅も数少なくなってきました。 3月以降も残っているであろうJR北海道のダルマ駅舎は以下の14駅で、各駅停車が削減されているので訪問するのが難しくなってきていますが、きれいになったダルマ駅舎が増えていないかコロナが収束したらチェックしに出かけたいと思っています。
宗谷本線 (6駅) 智恵文駅、筬島駅、歌内駅、問寒別駅、下沼駅、勇知駅
函館本線 (1駅) 中ノ沢駅
根室本線 (3駅) 尾幌駅、別当賀駅、西和田駅
留萌本線 (2駅) 幌糠駅、大和田駅
釧網本線 (1駅) 美留和駅
日高本線 (1駅) 浜厚真駅
(注) 運休中の日高本線 鵡川~様似間を除く
函館本線の尾白内駅、二股駅は有蓋貨車利用の駅舎で含まず